【ソウル=久保田るり子】「韓国人人質全員解放で合意」の韓国大統領府発表に、韓国では安堵(あんど)の声が上がっている。ソウル近郊の「セムムル(泉の水)教会」では家族代表が「国民の皆さんに恐縮の気持ちと感謝を伝えたい」と述べたが、2人の男性が犠牲になっているため、「ご遺族のことを思うとたまらない思いだ」と声をつまらせていた。
 41日目の合意は政府にとっても大きな成果だ。事件が長期化の様相をみせるなか、政府の交渉力不足に国民の失望感が広がっていたため、年末の大統領選挙や10月初旬の南北首脳会談を控えた盧武鉉政権にはアフガン拉致事件が重くのしかかっていたからだ。宋旻淳・外交通商相は先週からタリバンへの影響力を持つ中東各国歴訪を開始し、サウジアラビアのアブドラ国王に盧武鉉大統領の親書を伝達、協力要請するなど、外交的努力が続いていた。

 一方、当初はタリバン受刑者と人質との交換や韓国軍の即時撤退を要求してきたタリバンが、なぜ、これらの条件を撤回したかに注目が集まっている。合意した2条件のうち、年内のアフガン駐留韓国部隊撤退は予定通りで韓国側の譲歩はない。韓国側は国際社会に「テロ集団とは取引しない」と胸を張れるが、タリバンにはメリットはない。韓国人によるキリスト教の宣教活動の中止も、19人もの人質解放の条件にしては迫力に欠ける。

 韓国大統領府はあくまで「2つが公式に合意した内容」(スポークスマン)とする一方、「具体的には明らかにできないが、アフガン政府はじめ地域関係者、イスラム社会などと緊密に協調してきた」と述べ、非公式交渉が行われたことも示唆している。

 韓国政府は事件発生直後から、紛争地域での韓国キリスト教布教活動が問題となる兆しが強まるなかで、被害者たちを「純粋なボランティア」と強調、韓国メディアに協力を求めるなど、「人道的配慮」で事件解決に向け突破口を探ってきた。
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