◇「ライバル」との差別化など課題も--市・県、準備作業進む
 「水戸藩の学問・教育遺産群」として、「弘道館」「偕楽園」など水戸市内の4史跡の世界遺産登録を目指す準備作業が進んでいる。市と県は26日、共同で作成した提案書を文化庁に提出し、他候補との争いが本格化する。「学問・教育」という切り口で独自色を強調するが、知名度の高い各地の「ライバル」との差別化のほか、市民・県民の気運をいかに高めるかという課題もある。【清野崇宏】
 ■学問・教育遺産
 立候補するのは、国特別史跡の「旧弘道館」、国史跡・名勝の「常磐公園(偕楽園)」、「旧水戸彰考館跡」「日新塾跡」の4史跡。
 今年4月ごろ、市の若手職員有志の勉強会から話が持ち上がり、市長らの同意を取り付けた。市役所内で部会を発足させて検討を重ね、県と共同で提案書をまとめた。
 市文化振興課は「高い識字率など世界最高の教育水準を誇った近世日本の中で、国内最大規模の藩校・弘道館を中心にした教育で近代化推進に大きく貢献した」と立候補の理由を説明する。
 ■難関の暫定リスト
 世界遺産は世界851件、国内14件(7月現在)。登録へ向けて最大のハードルとなるのが、文化庁が国内候補から選抜してユネスコ世界遺産センターに提出する「暫定リスト」に載ることだ。国は暫定リストから条件が整った物件を、原則として年1件、同センターに推薦する。現在、暫定リストには「平泉の文化遺産」(岩手県)など8件が記載されている。
 これまで暫定リストに載った候補は、すべて世界遺産に認定されてきたという。同課は「日本のリストに記載されれば、世界遺産へのレールが敷かれたようなもの。だが一発でリストに載ることは難しい」と話す。
 リスト入りがかなわず「継続審議」とされている物件が「城下町金沢の文化遺産群と文化的景観」(石川県)など20件ある=表に主なライバル。名だたる「先輩」候補に水戸などの新規が加わり、同庁が来年、暫定リストの追加候補を決める。
 ■勝算は?
 立候補を予定する史跡の中には「日本の教育に計り知れない影響を与えた」とする足利学校(栃木県)のような類似のものもある。同課は「豊富に残る史料から、当時の教育内容を一目瞭然(りょうぜん)に証明できる点が最大の強み」とあくまで強気だ。
 今後の課題として市は、弘道館・偕楽園関連史料のデジタル保存に取り組む常磐大や市民団体などと連携した市民へのPRを挙げる。同大の水嶋英治教授(博物館学)は「市、県が専任の担当を置く推進室をつくり、地元企業や民間団体も入れて活動を組織化していくことが勝つためには必要」と話している。
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 ◇主な継続審議案件◇
青森県の縄文遺跡群(青森県)
金と銀の島、佐渡(新潟県)
松本城(長野県)
萩城・城下町及び明治維新関連遺跡群(山口県)
四国八十八箇所霊場と遍路道(四国4県)
 =水戸市、県調べ
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