ミャンマー軍事政権による反政府デモ弾圧を取材中の日本人記者長井健司さん(50)が銃弾を受けて死亡した事件で、長井さんが契約していたニュースプロダクション「APF通信社」(東京都港区)の山路徹社長(46)が29日午前、成田空港からバンコク経由でヤンゴンへ向かった。
 山路社長は「(長井さんの遺体を)速やかに日本へ帰すのが、遺族や私たちの希望」とし、「現地がどういう状況か分からないが、長井さんが倒れた場所に足を運びたい」と話した。

 長井さんは兵士に至近距離から意図的に撃たれた可能性の高いことが指摘されており、山路社長は「(米国テレビなどの)映像を見る限り、兵士が長井さんの背中に撃ち込んでいるのは明らか」と厳しく非難。長井さんは死亡する直前までビデオカメラで撮影していたとみられ、山路社長は「ビデオテープを探し、映像を確認したい」と話した。

<高村外相>ミャンマー外相と会談 長井さん死亡で強く抗議

 【ニューヨーク田所柳子】訪米中の高村正彦外相は28日午後(日本時間29日早朝)、ミャンマーのニャンウィン外相と国連本部で会談した。高村外相はミャンマー政府によるデモ隊への武力弾圧で映像ジャーナリストの長井健司さんが死亡したことに「平和的デモに強圧的な実力行使が行われ、日本人が死亡した。大変遺憾で強く抗議する」と厳重抗議、ニャンウィン外相は「日本人カメラマンが死んだことは誠に申し訳ない」と謝罪した。さらに高村外相は「報道の映像で見る限り、至近距離から射殺されており決して流れ弾のようなものではない。真相解明を強く求める」と述べ、ミャンマー政府に真相究明を求めた。
 外相会談は日本側が国連総会に出席しているミャンマー側に申し入れて行われた。ニャンウィン外相は公式に謝罪し「デモは沈静化しつつあり、私たちも自制したい」と語ったが、射殺が故意かどうかについては、言及しなかった。
 また、高村外相は「民主化プロセスを早期に進めてほしい」と要請。現地入りする国連のガンバリ事務総長特別顧問にミャンマー政府が具体的改善策を示すよう提案した。ニャンウィン外相はデモについて「国連総会の時期を狙って外国人によって組織された」と主張したが、改善策提示に取り組む意向も示した。
 高村外相は会談後、記者団に対し、藪中三十二外務審議官が30日にミャンマーに向かうことを明らかにした。また、「さらに強い措置を取るかどうかも視野に入れながら推移を見守っていく」と述べ、日本政府として制裁措置を排除しない考えを改めて示した。会談でニャンウィン外相は「(藪中氏の)派遣を受け入れ、よく話し合う」と述べたという。
 高村外相は28日夜(日本時間29日午前)、国連総会で行った一般討論演説でも同問題に言及。「デモ取り締まりで日本人1人を含む死傷者が発生した事態は極めて遺憾」とした上で、「ミャンマー政府が最大限の自制を示し、強圧的な実力行使をしないよう」要求。対話を通じた事態収拾を主張した。
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